石原良二『宝塚物語』
〈本文の一節〉
応神天皇が成長して国を治める頃、世の中は疫病が蔓延しており、押熊王の祟りと云われていました。応神天皇は側近の武内宿禰を呼んで押熊王の御霊を鎮めるよう言い遣わしました。早速、武内宿禰が白鳥塚古墳へ参拝すると、押熊王の御霊が白鳥となって出現し、山へ飛び去っていきました。慌てて後を追って行くと白鳥は大きな岩に止まりました。岩からは清水が湧いていました。この岩を白鳥岩といいます。白鳥はその水を病の人々に与えて疫病から救うことを教え、自らが厄神となって世の人々を災いから守護することを約束されました。押熊王が日本で最初の厄神と伝わります。押熊王の墓はこの後、仲哀天皇と大仲姫と共に山中の岩窟に祀られました。現在、この地に中山寺奥の院があります。…
宝塚物語
著者:石原良二
制作年:2015年
仕様:A4判 124ページ 平綴じ
著者プロフィール:宝塚を中心に歴史全般に造詣が深く、独特の歴史解釈にファンも多い。見返り岩周辺を実際に武庫川に潜って調べたり、山中に入って巨石を調べているうちに夜になり野生動物に出くわしたり、鉱泉でコーヒーを沸かして飲んでみたり…行動派の快男児。ファンが多いのは、人を惹きつけるお人柄のせいもあるのかもしれません。千歳橋を私設した石原家の出身。(2020年8月)