寺本眞吾『寿楽荘のさくら』
マチ文庫ならではの美しい写真集。知的好奇心と郷土愛にあふれています。見るだけでも楽しい!
平成13年に引越してきて以来、十数年にわたって、撮りためてきた寿楽荘の桜並木の写真集。花のトンネルになる春の景色だけでなく、葉桜、新緑、紅葉、うっすらと雪が積る冬枯れの季節まで四季折々の100数枚の写真。あわせて、寿楽荘が住宅地として開発された歴史と、その後この場所に桜が植えられた経緯も調べました。
〈本文の一節〉
「新年を、宝塚で迎えよう」
そう決めたのは2001年11月のこと。年の瀬も押し迫った12月17日、わたしたちは宝塚寿楽荘に引っ越してきた。真冬の事で、桜並木はすべて落葉し侘しい風景だった。ただ新居は気持ちよく床暖房があたたかかった。
この、5年前、1995年1月 17日 AM5:46阪神淡路大震災がおきた。このとき、西宮に住んでいて、わたしたちの家はどうにか倒壊こそまぬがれたが、屋根の葺き替え、壁の塗り替えなど改装にずいぶん出費した。工事中、どこか引っ越したい、そんな気持ちがしだいに大きくなり、あちこち物件を見て回った。
そのなかでも妻が、ここなら住んでみたい、駅から少し坂道があるけど、春には桜並木がきれいから、といった。…
寿楽荘のさくら
著者:寺本眞吾
制作年:2015年
仕様:B5横判 118ページ 平綴じ
著者プロフィール:大震災を機に引越しを考え始め、2001年12月にそれまで住んでいた西宮から宝塚市寿楽荘に引っ越し。以来、家の前の桜並木の撮影を続ける。(2016年2月)